【第24回】カラの弁当箱

【第24回】カラの弁当箱

 

デイリースポーツまるしぇをご覧いただきありがとうございます。

今月2度目の登板の中の人5号・Kです。

 

前回は趣味の野球(草野球)についてお話しさせていただきましたが、高校野球シーズンということで、今回も高校時代の野球のお話しをしたいと思います。

 

 

今から30年以上も前になります。

私は神奈川の公立高校で迷いなく野球部に入りました。

 

当時、一番楽しかったのは同期8人でいる部室の時間でした。

最上級生にもなると自由に部室を使ってよかったので、自習時間や昼休みなどはほとんど部室でたむろしていました。

 

そんなある昼下がり。

部室でお弁当を食べていると、二塁手・Mが体育の授業の後、クラスメイトと校庭で遊んでいたのか、ひとりだけまだ食べていません。

すると、誰かが、「Mの弁当箱をカラの弁当箱と入れ替えたら、アイツどんな反応するかな~」と言うのです。

Mの弁当箱は入学時に学校で販売していたもので、同期数人も同じものを使っておりました。

 

すでに食べ終えた弁当箱をきれいにふき取り、Mのとチェンジ。

これで準備OKです。

 

しばらくして、食べることが人生において最大の喜びだったMは、「さぁ、食うぞ~」とばかりにルンルンで部室に入ってきました。

同期は笑いをこらえながら平静を装っています。

Mが鞄から弁当箱を取り出します。

さすがに持った瞬間に気づくだろうと思っておりましたが・・・.。

 

Mはよだれをこらえながら弁当箱のふたを開けました。

すると、中身は空っぽ。

母親が入れ忘れたと思い込んだMは、衝撃のあまり、「ばばぁ~」と口にしながら、ひざから崩れ落ちていきました。

 

あまりの落ち込みように同期は声を掛けられなくなりましたが、勇気をふりしぼって、一番仲が良かった投手・Nがネタばらしすると、怒りの矛先はNに。

もちろん、Mには中身の詰まった弁当を返しましたが、しばらく口をきいてくれませんでした。

 

あの落ち込みようは、最後の夏の大会に負けた時以上のものがありました。

 

食いものの恨みはこわいですね~。